人生100年時代と近年言われているが本当か?
LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略がベストセラーとなっているが、本当にこの先人間の多くが100年という寿命を生きるのか?これに関する報告があった。
M3記事より引用
日本を含む長寿の国でこの30年、平均寿命の延びは鈍化しており、今世紀中に100歳まで生きる人の割合が女性で15%、男性で5%を超えることはないとの予測を、米イリノイ大などのチームが7日、米科学誌ネイチャーエイジングに発表した。
https://community.m3.com/v2/app/messages/news/4934080
つまり人生100年を見越した老後プランを作ったり、金融資産を蓄えたりするのは、もしかすれば「考えすぎ」なのかもしれない。
確かに人間いつしか、あらゆる病気に打ち勝つことができても、老衰という人生の最終地点にはまだ抗えないのかもしれない。老化を病気としていつしか、治療する時代が来るのかもしれないが、現状ではどうしても人間の寿命には限界があり、いくら寿命がこの先伸びたとしても、いずれはプラトーに達することは想像に難くない。
その上で医療に携わる身としては、やはり健康寿命をいかに伸ばすことができるか、ということに注力すべきなのだろう。総合診療医として考えつく取り組みをあげてみる。
1. 健康寿命の延伸に注力
寿命の延びが鈍化し、100歳まで生きる人の割合が限定的であることを踏まえると、健康寿命を延ばすことが最優先課題となる。病気や障害による不自由な生活を避け、患者ができるだけ自立した生活を送れるようにするため、予防医療や生活習慣の改善に重点を置くことが必要だろう。
2. 現実的な老後計画の支援
「人生100年時代」の過大な期待に基づいたプランではなく、実際の寿命や健康状態に即した現実的な老後の医療・介護計画を患者や家族に提案することが重要である。特に終末期医療や介護の選択肢に関して、患者と家族に対して的確な情報提供と意思決定の支援を行うべき。
3. 地域医療と統合ケアの強化
高齢化社会では、病院だけでなく地域全体での健康管理が不可欠である。地域の健康ネットワークを活用し、複数の医療従事者や介護職と協力して、統合的なケアを提供する。患者が地域で安心して暮らせる環境を整えるため、予防医療や生活支援の役割を積極的に果たす必要がある。
4. 予防医学と早期介入の推進
生活習慣病や慢性疾患の予防を通じて、健康寿命を延ばすことが大切。患者の日常生活に関与し、リスク管理を行う。定期的な健康チェックや早期介入により、病気の進行を防ぎ、健康な状態を長く保つことが求められる。
5. 患者の自己管理能力の向上
患者自身が健康に責任を持ち、適切な管理ができるようにサポートすることも重要だ。定期的な健康教育を通じて、食事、運動、禁煙などの生活習慣改善を促し、患者が主体的に健康を維持できるようにする。
単に寿命を延ばすだけではなく、患者の生活の質を向上させ、健康寿命を長く保つことを目指すべきなのだろう。そのためにすべきことが総合診療医の使命なのかもしれない。
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