働き方改革に思うこと・個人的な意見です

働き方改革が本格化している。医療界も例外ではない。

ただ働き方改革は、「誰のどんな問題を解決しているのか」と甚だ疑問である。実際、働き方改革によって、余計にサービス残業が助長されたり、働きたい人にとって、邪魔な制度だと感じることもあると思います。

働きたい人ってなんだと思う人もいるかもしれない。ただ医者をしていると担当患者が週末にどうなっているか、また容体が急変すれば、主治医でなければ対応できない場面もある。それをサービス残業にするべきではない。時間外の対応を強制すべきではない、一方で休息も強制すべきでないと考えます。

医者が利用するサイトm3では散々な書かれようです。

https://www.m3.com/news/iryoishin/1226413

以下サイトからの引用。

若手医師の28.4%「働き方改革でモチベーション下がった」

「休めていない上に給料は減っている」「『これは仕事ではない』とあら探しをされている感じ」 引用終了。

医師の働き方改革について、私なりの考えをシンプルにお伝えしたいと思います。

時間外労働の制限、たとえば年間960時間や1860時間、水準AやB、月100時間未満などの規制がどんどん厳しくなっています。さらに当直明けは帰宅、勤務間のインターバル9時間、代償休息など、いろいろなルールが追加されている状況です。

これ、例えるなら間質性肺炎に対するステロイドパルス療法みたいだなって思います。全体には効くけど、副作用や不具合もたくさん。しかも肝心の効果はそこまで…みたいな。笑

個人的には、こういった規制は、働きたい、スキルを上げたい人にとっては正直「邪魔」です。さらに、時間を守るための手続きが増えて、逆にやることが多くなってしまうのが現状です。もちろん、休息が必要な人もいますが、大学病院や市中病院の現場では、結局サービス残業が増えている印象です。病院での労働時間をGPSで管理する取り組みもあるけど、結局仕事を家に持ち帰る人も少なくありません。

だから、今のところこの働き方改革、私にとっては「百害あって一利なし」。例えるなら、喫煙みたいなもの。結果としてサービス残業が増えて、結局は疲弊してしまうだけです。これじゃ本当に意味がないと思います。正直、腹立たしいです。

またこれはある病院での話。

「始業から24時間以内に9時間の連続した休息時間を確保する」ということを目指している。宿日直許可のある病院でも9時間休むように、ということなのです。

でも、宿日直の許可があるからといって、完全に「仕事をしていない」というわけではありません。実際、時間外でも救急車を受けなければならないし、急変対応や診察が必要なことだってあります。それでも9時間の休息を確保しろというなら、「救急車を断っていいんですか?」と言いたくなりますよね。でも、もちろんそんなことはできません。

宿日直許可のある病院だとしても、2次救急病院として稼働している、世の中にはそんな病院ばかりです。しかもそんな病院がもしなければ、3次救急を提供している病院がパンクしてしまいます。

結果、どうしてもサービス残業になってしまいます。

結局のところ、事務方はできるだけ給料を支払わずに済むようにしているとしか思えません。そして、現場では理想と現実のギャップが広がるばかり。そんな中で、ルールを無視して働く医師が増えたり、結局サービス残業を受け入れざるを得なくなっています。

そもそも、この働き方改革は誰のための、何の問題を解決するために作られたのでしょうか?今のルールは本当に現場の問題を解決しているのか?理想を追い求めるだけではなく、現実に即した、もっと働きやすい制度を考えてほしいと強く思います。

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Dr.こうじろう
1992年生まれ、関西出身。幼少期の喘息経験から医療に興味を持ち、地元大学の医学部を卒業後、研修医を経て総合診療医として地域医療に貢献。医療と介護の連携を重要視し、経済やマネジメントの知識も学びつつ、「最適化された医療を提供する」ことをモットーに従事する。趣味は筋トレ、テニス、ウイスキー収集。医療に関するニュースや日々の診療ですぐに実践できる知識を発信するブログ。