縦隔腫瘍 KIM

概要

縦隔は胸部の真ん中で、肺を除いたすべての構造(内臓も)含んだ領域をいう。

前方は胸骨、後方は胸椎の椎体前面、上方は胸郭入口部、下方は横隔膜で囲まれた空間、ということになる。

この領域に発生した腫瘍を縦隔腫瘍という。

縦隔腫瘍は、胸腺腫瘍が一番多くこれで4割を占める。残りは雑多で、神経原生腫瘍、先天性嚢胞、胚細胞性腫瘍、リンパ性腫瘍、胸腔内甲状腺腫瘍などがあり、それぞれ1割くらいである。

胸腺腫は、重症筋無力症と関連が大きい。重症筋無力症の2〜3割に胸腺腫を合併しているとされる。

また胸腺腫に関連した赤芽球癆が知られている。

ガンマグロブリンの欠損あるいは不全欠損によって低ガンマグロブリン血症になっていて、免疫不全の様相であればこれをGood症候群と呼ぶ。

縦隔腫瘍の画像診断は、CT・MRIの他FDG-PET/CTがある。

確定診断は当然組織診断であり、CTガイド下生検などが必要であるように思えるが、そもそもこの手技は検体量が少ないというデメリットがある。リンパ腫の精確な診断にFNA(fine needle aspiration)では無理があるのと同じである。

そこで、胸腔鏡、縦隔鏡、開胸による切除生検が多くのケースで必要になる。摘出を目的とする場合も胸腔鏡下腫瘍摘出術が選択されることが一般的である。

胚細胞腫瘍は著しい大きさになるなどそもそも画像的に類推できるほか、非精上皮腫(非セミノーマ)性では、β-hCGの上昇、あるいはAFP500ng/mL以上であればこれによって組織診断を待たず確定診断としていいという推奨がある。要するに迂回せずに早く治療開始した方がいい。

悪性腫瘍縦隔胚細胞性腫瘍は若年男性に発症し、巨大前縦隔腫瘍で見つかることが多い。Klinefelter症候群は発症のリスク因子である。

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Dr.こうじろう
1992年生まれ、関西出身。幼少期の喘息経験から医療に興味を持ち、地元大学の医学部を卒業後、研修医を経て総合診療医として地域医療に貢献。医療と介護の連携を重要視し、経済やマネジメントの知識も学びつつ、「最適化された医療を提供する」ことをモットーに従事する。趣味は筋トレ、テニス、ウイスキー収集。医療に関するニュースや日々の診療ですぐに実践できる知識を発信するブログ。