胸部X pと胸部CTの見方①

はじめに

胸部X線(胸部Xp)や胸部CTは、白黒の画像で構成され、その白から黒への階調(密度)を読み取っていくもの。基本的に、物質の密度が高いほど白く、低いほど黒く見える。

密度と色の違い

  • 空気(密度:0g/cm³)→ 黒く表示
  • 筋肉・軟部組織(水)(密度:1g/cm³)→ 灰色に見える
  • (密度:0.1g/cm³)→ 黒〜灰色の中間くらい

黒く見える病変

  • 肺嚢胞
  • 肺気腫
  • 気胸

白く見える病変

  • 胸水
  • 無気肺
  • コンソリデーション(浸潤影)
  • 粒状影
  • 結節影
  • 腫瘤影

グレーに見えるもの

上記以外の正常な組織や、その他の病変はだいたいグレーに見える。

肺の区域について

  • 右肺はS1〜S10までの10の区域に分かれる。
  • 左肺はS1+2が一つの区域になっていて、右肺にあるS7はないのが特徴。

レントゲンのシルエットサイン

レントゲン画像では、特定の構造が密度の似た他の構造物と重なると「シルエットサイン」として見える。これを利用して異常部位を特定する。

  • 心臓(胸郭の前下部に位置)→ S4、S5、中葉
  • 大動脈(背部に位置)→ S6、S10、下葉
  • 横隔膜 → S8、下葉

AP撮影とPA撮影の違い

  • **AP(前後方向)**では心臓が大きく見える
  • **PA(後前方向)**では心臓が実際のサイズに近い

胸部X線画像の確認手順

  1. 全体をざっと確認:左右対称に撮影されているかチェック
  2. 軟部組織と骨を確認:骨折や異常がないか確認
  3. 縦隔と気管支を確認:位置が正常かどうか
  4. 心陰影を確認:心臓の大きさや形を確認
  5. 横隔膜を確認:正常なら9〜10肋間の高さにある
  6. 肺野を確認:病変や異常な影がないかチェック

まとめ

胸部X線やCT画像のポイントは、密度による白黒の差と、解剖学的な構造を把握すること。肺の区域やシルエットサインをうまく活用して、異常所見を的確に見つけていこう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA



reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

ABOUT US
Dr.こうじろう
1992年生まれ、関西出身。幼少期の喘息経験から医療に興味を持ち、地元大学の医学部を卒業後、研修医を経て総合診療医として地域医療に貢献。医療と介護の連携を重要視し、経済やマネジメントの知識も学びつつ、「最適化された医療を提供する」ことをモットーに従事する。趣味は筋トレ、テニス、ウイスキー収集。医療に関するニュースや日々の診療ですぐに実践できる知識を発信するブログ。