胸部X線と胸部CTの見方②

はじめに

今回も引き続き、胸部X線とCTの読み方について解説。疾患ごとの特徴を踏まえながら、見逃しやすいポイントや画像上のサインを見ていく。

横隔膜が挙上する疾患

横隔膜が上に引き上げられる疾患は以下の通り:

  • 無気肺
  • 線維化
  • 肺切除後
  • 円背
  • 横隔神経麻痺
  • 腹部疾患

横隔膜が低位になる疾患

逆に、横隔膜が低く位置する疾患は次の通り:

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  • 緊張性気胸

肺炎と間質性肺炎の違い

一般的に、肺の中枢部は血流が多く、末梢部はリンパ流が多い。このため、経気道感染する肺炎は中枢側に病変が現れやすい。一方で、自己免疫が関与する間質性肺炎は末梢側から病変が進行する傾向がある。

リンパ流の流れ

リンパ流は、肺門リンパ節から始まり、気管分岐部、そして気管傍部に流れていく。このため、リンパ節転移があれば、肺門や気管分岐部を確認することで進行度をおおよそ把握できる。

縦隔の構造

胸部レントゲンで縦隔の各弓を確認することは重要。以下が主な解剖学的構造:

  • 右第1弓:上大静脈
  • 右第2弓:右心房
  • 左第1弓:大動脈
  • 左第2弓:肺動脈
  • 左第3弓:左心耳
  • 左第4弓:左心室

肺癌の分布

肺癌はタイプによって分布が異なる。

  • 腺癌:原因が小さな粒子のため、肺の抹消に多い。
  • 扁平上皮癌、小細胞癌:タバコの大きい粒子が原因で、中枢に分布する。

肺結節の形で判断する病変

肺結節の形は、その病変を判断する大きな手がかりになる。

  • 外に凸:腫瘍や膿瘍などの感染巣
  • 内に凸:線維化、無気肺、腺癌(線維化を伴うため)
  • 線状・棒状:肺炎

異常に見えるけど正常な所見

画像上で異常に見えてしまうが、実は正常な構造もある。以下の所見は、見逃しやすいので注意:

  • 第一肋軟骨の骨化:高齢者に多く、カルシウム沈着による骨化が見えることがある。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/cadetto/practice/3shindenzu/201107/520735.html

  • Pericardial fat pad(心外膜脂肪):心臓の周りに見える脂肪組織で、異常ではない。

https://www.teramoto.or.jp/teramoto_hp/kousin/sinryou/gazoushindan/case/case114/index.html

気胸と肺嚢胞の鑑別

気胸と肺嚢胞は形状でおおよそ判断できる。

  • 外向きに凸:気胸
  • 内向きに凸:嚢胞

CTの分解能と病変

CTの分解能は0.5mm以上。つまり、0.5mm未満の小さな病変はCTでは捉えにくい。ただし、血管は0.5mm以上であれば通常見える。気管支は末梢にいくほど見えなくなるが、異常があれば壁が厚くなり、見えるようになることが多い。

すりガラス影とは?

すりガラス影は、白い陰影があるけど、血管やその他の構造物がまだ見えている状態を指す。つまり、完全に白くなっているわけではなく、少し透けて見える感じ。


これらの知識を活かして、胸部X線やCTの読み方をより深めていこう。正確な画像診断ができるようになれば、臨床でも役立つこと間違いなし!

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Dr.こうじろう
1992年生まれ、関西出身。幼少期の喘息経験から医療に興味を持ち、地元大学の医学部を卒業後、研修医を経て総合診療医として地域医療に貢献。医療と介護の連携を重要視し、経済やマネジメントの知識も学びつつ、「最適化された医療を提供する」ことをモットーに従事する。趣味は筋トレ、テニス、ウイスキー収集。医療に関するニュースや日々の診療ですぐに実践できる知識を発信するブログ。